DIYや木工を始めようと思ったとき、最初に悩むのが「のこぎりの種類」ではないでしょうか。
ホームセンターに行くと、いろいろな形のこぎりが並んでいて、どれを選べばいいかわからない……そんな経験、きっとあなたもあるはずです。
実はのこぎりは「切る素材」と「切りたい方向」によって、選ぶべき種類がはっきりと分かれています。
この記事では、のこぎりの基本的な種類とそれぞれの特徴、そしてあなたの用途に合った選び方をわかりやすく解説していきます。
のこぎりの基本:まず知っておきたい「横挽き」と「縦挽き」の違い
のこぎりの種類を理解するうえで、最初に押さえておきたいのが「横挽き(よこびき)」と「縦挽き(たてびき)」という考え方です。
これは木材の木目に対して、どの方向に切るかという違いです。
横挽きは、木目に対して直角に切ることを指します。木材の長さを切るときに使うイメージです。
縦挽きは、木目に沿って平行に切ることです。板を縦方向に割いたり、幅を調整したりするときに使います。
この2つは刃の形状がまったく異なります。
横挽き用の刃は小刀のように尖っていて、木の繊維を断ち切りながら進みます。一方、縦挽き用の刃はノミのような形で、木の繊維に沿って削り取るように切るのです。
この違いを理解しておくだけで、のこぎり選びの精度がぐっと上がります。
用途別のこぎり種類ガイド
ここからは、代表的なのこぎりの種類をひとつひとつ見ていきましょう。
両刃鋸(りょうばのこぎり)
もっともポピュラーなのが両刃鋸です。名前のとおり、刃の両側に異なる種類の刃が付いています。
片側が横挽き用、もう片側が縦挽き用になっていて、1本で両方の切断に対応できるのが大きな特徴です。
メリット
- 1本で横挽き・縦挽きの両方ができる
- DIY初心者の最初の1本として最適
- ホームセンターで手軽に入手できる
デメリット
- 片刃のものよりやや重たく大きい
- 各々の専用刃に比べると切れ味はやや劣る場合がある
向いている人
- これからDIYを始める人
- とりあえず1本、万能なのこぎりが欲しい人
向いていない人
- すでに複数ののこぎりを持っていて、用途別に使い分けたい人
- 軽量・コンパクトな工具を好む人
持ち手の形状にはストレートタイプとガンタイプがあり、握りやすさで選ぶこともできます。
横挽鋸(よこびきのこぎり)
横挽き専用の片刃のこぎりです。DIYでいちばん頻繁に行う「木材の長さを切る」作業に特化しています。
メリット
- 横切りに最適で、切れ味が良い
- 両刃鋸より軽く、扱いやすい
デメリット
- 縦挽きには使えない
- 複数のこぎりを揃える必要がある
向いている人
- 主に木材の長さを切りそろえる作業が多い人
- 軽快な操作性を重視する人
縦挽鋸(たてびきのこぎり)
縦挽き専用の片刃のこぎりです。板材を縦方向に割いたり、幅を調整する作業に使います。
メリット
- 木目に沿った切断がスムーズで抵抗が少ない
- 比較的楽に長い切断ができる
デメリット
- 横挽きには使えない
- 単体で持つより、両刃鋸の一部として持つことが多い
向いている人
- 板を縦方向にカットする作業が多い人
- 幅木や棚板の幅を変えたい人
胴付鋸(どうつきのこぎり)
胴付鋸は、非常に薄いノコ身に背金(補強板)が付いているのが特徴です。歯が細かく、精密な切断に向いています。
メリット
- 切り口が非常に滑らかで美しい
- 薄い材料や細かい部材の切断に最適
- ささくれができにくい
デメリット
- 背金の分だけ深く切れないため、厚い木材には不向き
- 切断に時間がかかる
- 価格がやや高め
向いている人
- 精度の高い木工作業をする人
- 模型製作やインテリア小物を作る人
- 仕上がりの美しさを重視する人
「仕上げ用」や「精密仕上げ用」とも呼ばれることがあります。
廻挽鋸(まわしびきのこぎり)
廻挽鋸は、ノコ身が非常に細く、曲線に沿って切り進められるように設計されたこぎりです。
手動のジグソーのようなイメージを持ってもらうとわかりやすいでしょう。
メリット
- 板材の円形や複雑な曲線の切り抜きができる
- 自由なラインでカットできる
デメリット
- 直線切りには不向き
- ある程度の練習とコツが必要
向いている人
- 曲線を多用する木工アートを作る人
- パズルやインテリア雑貨を製作する人
なお、「突廻鋸(つきまわしびき)」という押して切るタイプもあります。
糸鋸 / 弦架鋸(いとのこ / つるかけのこぎり)
弓状のフレームに糸のように細い刃を張ったこぎりです。替え刃で木材用・金属用などに切り替えられます。
メリット
- 非常に繊細な曲線カットができる
- 板の内部をくり抜く作業(穴を開けてから刃を通す)ができる
- 細かい装飾加工に向く
デメリット
- 刃が細く折れやすい
- 扱いに慣れが必要
向いている人
- 装飾的なカットやパズルを作る人
- 工芸品や細かい木工作品を作る人
ダボ切り鋸(だぼぎりのこぎり)
ダボ切り鋸は「アサリ」(刃先の広がり)がなく、非常に薄くしなやかな刃を持つのが特徴です。
メリット
- 木材の表面に傷をつけずに切断できる
- 飛び出たダボ(埋め木)や木釘を平らに切り落とせる
- 切り口が非常に狭い
デメリット
- 切断能力は限定的
- 専用用途が強く、汎用性は低い
向いている人
- 家具製作や建具製作でダボ処理を多用する人
- 仕上げの美しさにこだわる人
金切り鋸(かなきりのこぎり)
金属切断用の刃を装着した弓のこ(フレームソー)タイプが一般的です。
メリット
- 金属パイプやアングル、ボルトなどの切断ができる
- 替え刃で切断対象に合わせられる
デメリット
- 木工用とは刃の形状が異なる
- 木工には使えない
向いている人
- 配管工事や金属加工をする人
- プラモデル製作など金属を扱う人
切断する金属の硬さや形状に合わせて、適切な刃(山数)を選ぶことが大切です。
のこぎりを選ぶときに見るべきポイント
のこぎりの種類がわかったところで、実際に選ぶときにチェックすべきポイントを整理しておきましょう。
① 何を切るのか
いちばん基本的な判断軸です。
- 木材 → 木工用のこぎり(横挽き・縦挽き・両刃など)
- 金属 → 金切り鋸
- 竹 → 竹挽鋸
- プラスチック・塩ビ管 → エンビソーなど
切る素材によって選ぶべきこぎりが変わります。
② どう切りたいのか
- 直線でざっくり切りたい → 横挽鋸や両刃鋸
- 直線で美しく切りたい → 胴付鋸
- 曲線を切りたい → 廻挽鋸や糸鋸
- 表面を傷つけたくない → ダボ切り鋸
仕上がりの品質も、選ぶ種類によって大きく変わります。
③ 刃のピッチ(目の細かさ)
ピッチとは、刃の目と目の間隔のことです。
- ピッチが粗い(目が大きい)→ 切断は速いが、切り口は粗くなる
- ピッチが細かい(目が小さい)→ 切断は遅いが、切り口は美しい
材質や目的に合わせて選びましょう。
④ 刃渡り
切る材料のサイズに合わせて刃渡りを選びます。
短すぎると厚い材料を切れませんが、長すぎると細かい作業で扱いづらくなります。
のこぎりを使うときの注意点
のこぎりは刃物です。正しく使わなければ危険を伴います。
いくつか注意点を確認しておきましょう。
- 作業前に材料をしっかり固定する
- 保護メガネや手袋を着用する
- のこぎりは引くときに力を入れる(押すと刃が曲がる原因になる)
- 切り終わりは材料が割れることがあるので注意する
- 作業後は刃に付着した樹脂や汚れを拭き取る
- 使用後は刃に防錆油を塗って保管する
これらの基本を守るだけで、安全に長く使い続けられます。
よくある質問
最初に買うべきのこぎりはどれ?
DIYを始めたばかりの人には、両刃鋸がおすすめです。
1本で横挽きと縦挽きの両方に対応できるので、ほとんどの作業をカバーできます。
まずは両刃鋸で基本を覚え、作業が進むにつれて用途に合った専用のこぎりを追加していくのがよいでしょう。
のこぎりの切れ味が悪くなったらどうする?
替刃式のものなら、刃を交換するのが簡単です。
交換できないタイプの場合は、目の修正や研磨が必要になりますが、初心者にはハードルが高い作業です。
そのため、最初は替刃式のものを選ぶのもひとつの手です。
まとめ:自分の作業に合ったのこぎりの種類を選ぼう
のこぎりには実にさまざまな種類があり、それぞれに得意な作業と不得意な作業があります。
この記事で紹介した種類は、あくまで代表的なものです。
- 両刃鋸:初心者の最初の1本
- 横挽鋸・縦挽鋸:基本の片刃タイプ
- 胴付鋸:精密仕上げ用
- 廻挽鋸・糸鋸:曲線切り用
- ダボ切り鋸:表面を傷つけずに切断
- 金切り鋸:金属加工用
あなたが「何を」「どう切りたいのか」を明確にして、自分にぴったりの一本を見つけてください。
のこぎりの種類を正しく理解すれば、DIYや木工作業がぐっと楽しくなりますよ。


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