部屋をもっと使いやすくしたい、お気に入りの雑貨を飾る場所が欲しい――そんなときに便利なのが壁面収納です。でも、「壁に棚を作る」といっても、どこから始めればいいか分からない、壁を傷つけそうで不安、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、壁に棚を取り付けるための基本手順から、壁の種類別の正しい金具の選び方、初心者がやりがちな失敗とその対策までをまとめて解説します。この記事を読めば、自分の壁に合った方法で安全に棚を設置できるようになります。
壁に棚を作る前に知っておきたいこと
壁に棚を作る作業は、正しい手順と道具を揃えれば、DIY初心者でも十分に挑戦できます。まずは、取り付け前に必ず確認しておきたいポイントを押さえましょう。
壁の素材を確認する
壁に棚を取り付けるとき、もっとも重要なのが壁の素材です。壁の素材によって、使うべき金具や工具がまったく変わってきます。
一般的な住まいの壁は、以下のいずれかに分類されます。
- 石膏ボード壁:マンションやアパートの内壁によく使われている素材。表面はボード状で、叩くと軽い音がします。
- コンクリート壁:マンションの外壁や一部の内壁、駐車場などに使われる硬い素材。叩くと固い音がします。
- 木造壁(下地あり):戸建て住宅の内壁で、柱や間柱(スタッド)と呼ばれる木材が通っている場所。叩くとしっかりした音がします。
壁の素材の見分け方は、まず見た目と触り心地で判断します。コンクリートは冷たく硬く、石膏ボードは少し柔らかく感じられます。また、壁をコンコンと叩いてみて、音が高い場所と低い場所がある場合、低い音がする場所は下地(間柱)がある可能性が高いです。
下地の位置を調べる
壁に棚をしっかり固定するには、壁の内部にある「下地」と呼ばれる構造材にビスを打ち込むのが基本です。下地は柱や間柱のことで、この部分に固定すると高い耐荷重が得られます。
下地の位置を調べる方法はいくつかあります。
- 叩いて音を聞く:壁をコンコンと叩き、音が高く響く場所が下地のない部分、低く鈍い音がする場所が下地のある部分です。
- 間柱探知器を使う:ホームセンターで販売されている専用の探知器を使えば、壁の内部の下地の位置を簡単に見つけられます。
- コンセントやスイッチの位置から推定する:コンセントやスイッチは通常、間柱の横に設置されていることが多いため、その周辺を探すのもひとつの方法です。
下地が見つからない場合や、石膏ボードしかない壁に取り付ける場合は、後述する石膏ボード用アンカーを使用します。
壁に棚を作るために必要な道具と材料
実際に棚を作り始める前に、必要な道具と材料を揃えましょう。作業の途中で足りないものがあると、スムーズに進みません。
必須の道具
- 電動ドリル(振動ドリルまたはインパクトドライバー):壁に下穴を開けたり、ビスを締めたりするのに使います。コンクリート壁の場合は振動ドリル機能付きのものが必須です。
- 水準器(レベル):棚を水平に取り付けるために欠かせません。長さが30cm〜60cm程度のものが使いやすいです。
- メジャー(巻尺):取り付け位置の寸法を測るのに使います。
- 鉛筆:壁に印をつけるために使います。柔らかい芯(2B程度)がおすすめです。
- プラスドライバー:ビスを締める際に使います。電動ドリルを使わない場合でも用意しておくと安心です。
- 保護メガネ:穴あけの際に粉塵や破片が目に入るのを防ぎます。
壁の素材別に必要な金具・材料
- 石膏ボード壁用:石膏ボード用アンカー(トグルアンカーやボードアンカーなど)、ビス
- コンクリート壁用:コンクリート用プラグ(スリーブプラグや樹脂プラグなど)、ビス、コンクリート用ドリルビット
- 木造壁(下地あり):木ネジ、下穴用のドリルビット
これらの金具は、取り付ける棚の重さや載せるものの重さに合わせて選ぶ必要があります。各製品のパッケージには耐荷重が表示されているので、必ず確認しましょう。
壁に棚を作る手順|ステップバイステップ
ここからは、実際に壁に棚を取り付ける手順を詳しく説明します。ここでは、もっとも一般的なL字金具を使った壁直付け方式をベースに解説します。
1. 設置場所と高さを決める
まず、棚をどこに、どの高さに設置するかを決めます。部屋のインテリアバランスや使い勝手を考えて、実際に棚を置く場所に立ち、高さを確認しましょう。
目安として、床からの高さは以下のような基準が考えられます。
- 装飾棚(飾り物用):目線の高さ(約150cm〜160cm)がおすすめ
- 収納棚(本や雑貨用):使いやすい高さ(約100cm〜130cm)
- キッチン棚:作業台から上のスペース(約40cm〜60cm上)
2. 水平を出して印をつける
設置位置が決まったら、水準器を使って水平を出しながら、壁に鉛筆で印をつけます。
金具を取り付ける位置を正確に測り、左右の金具の高さが同じになるようにしましょう。このとき、メジャーで寸法を何度も確認することが大切です。印は後で消せるように、目立たない程度に付けておきます。
3. 下穴を開ける(壁の素材別の注意点)
印をつけた場所に、電動ドリルで下穴を開けます。
- 石膏ボード壁の場合:アンカーの太さに合ったドリルビットで下穴を開けます。石膏ボードは割れやすいので、ドリルを強く押しすぎないように注意しましょう。
- コンクリート壁の場合:コンクリート用のドリルビットを使い、振動ドリルモードで下穴を開けます。コンクリートは硬いため、ドリルが熱くなりすぎないように、少しずつ穴を開けていくのがポイントです。
- 木造壁(下地あり)の場合:木ネジよりひと回り細いドリルビットで下穴を開けます。この下穴があることで、木材が割れるのを防げます。
下穴を開ける前に、壁の裏側に配管や電線が通っていないか必ず確認してください。水道管やガス管、電線を傷つけると大きな事故につながる恐れがあります。
4. 金具を取り付ける
下穴が開いたら、金具を取り付けます。
石膏ボード用アンカーを使う場合は、下穴にアンカーを差し込み、専用の工具やプラスドライバーで壁に固定します。その後、金具をビスで固定します。
コンクリート用プラグを使う場合は、下穴にプラグを打ち込み、その上から金具をビスで固定します。
木造壁の場合は、直接木ネジを下穴に締め込んで金具を固定します。
金具を取り付けたら、水準器で水平が取れているか再確認しましょう。傾いている場合は、この時点で修正します。
5. 棚板を載せる
金具がしっかり固定できたら、最後に棚板を載せます。
棚板を金具の上に置き、ずれていないか、ぐらつきがないかを確認します。必要に応じて、棚板と金具をビスで固定しても構いません。
これで壁に棚を作る作業は完了です。最後にもう一度、全体の水平とぐらつきをチェックして、安全を確認しましょう。
壁の素材別|適切な金具と注意点
ここでは、壁の素材ごとにもう少し詳しく、適切な金具の選び方と注意点を解説します。
石膏ボード壁用の金具
石膏ボードは厚さが9.5mmや12.5mmと薄いため、普通のビスだけでは強度が出ません。そこで使うのが石膏ボード用アンカーです。
石膏ボード用アンカーにはいくつか種類があります。
- トグルアンカー:壁の裏側でパラシュートのように広がって固定するタイプ。比較的重いものにも対応できますが、開ける穴が大きくなります。
- ボードアンカー(ユニットアンカー):プラスチック製で、ビスを締め込むと先端が広がって固定されるタイプ。軽量〜中量のものに向いています。
- 金属製アンカー:金属製で、より強度が高いタイプ。重い棚を支えたい場合に適しています。
いずれのアンカーも、製品に表示されている耐荷重を必ず確認してから選びましょう。また、石膏ボードの厚さによって対応可否が変わる場合もあるので、購入前にチェックしてください。
コンクリート壁・レンガ壁用の金具
コンクリートやレンガなどの硬質な壁には、コンクリート用プラグ(スリーブプラグや樹脂プラグなど)を使用します。
プラグは、壁に開けた下穴に打ち込み、ビスを締めることでプラグが広がり、壁に固定される仕組みです。プラグの素材や形状によって耐荷重が異なるため、載せる物の重さに合わせて選びましょう。
コンクリート壁への穴あけには、振動機能付きのドリルとコンクリート用のドリルビットが必須です。一般的なドリルビットでは歯が立たないので注意してください。また、穴あけの際には粉塵が大量に出るため、掃除機を併用したり、周囲を養生したりすることをおすすめします。
木造壁(下地あり)の場合
木造壁で間柱などの下地がある場合は、木ネジを使って直接固定するのがもっとも強固な方法です。
下地の幅は通常30mm〜45mm程度なので、下地の中心を狙ってビスを打ち込むのがコツです。下地の中心から外れると、ビスの保持力が半減してしまうので注意が必要です。
木造壁の場合も、下穴を開けることを忘れずに。下穴がないと、木材が割れたり、ビスがなめたりする原因になります。
壁に棚を作るときによくある失敗と対策
DIY初心者がやりがちな失敗を事前に知っておくことで、スムーズに作業を進められます。
水平が出せない
棚が傾いてしまう原因のほとんどは、最初の印付けで水平が出ていないことです。水準器をしっかり使って、複数回確認しながら印をつけましょう。特に、左右の金具の高さを同じにするのがポイントです。一度ビスを締めてしまうと修正が大変なので、取り付け前に念入りにチェックしてください。
下地を外してしまう
間柱を狙ってビスを打ち込んだつもりが、実際には外れてしまい、石膏ボードだけに固定してしまった――という失敗はよくあります。間柱の中心を確実に捉えるために、間柱探知器を使うか、複数の方法で位置を確認してから穴を開けましょう。
アンカーが壁に収まらない
石膏ボード用アンカーを打ち込んだら、壁の表面からはみ出してしまったり、逆に深く入り込みすぎてしまったりすることがあります。これは下穴の深さや径が適切でない場合に起こります。製品の説明書に記載された下穴の条件を厳守しましょう。
金具の耐荷重を超えてしまう
棚に本や食器など重いものを載せる予定なのに、耐荷重の小さい金具やアンカーを選んでしまうと、後日落下するリスクがあります。事前に載せる予定の物の重さを想定し、それに余裕を持って対応できる金具を選びましょう。
壁に棚を作る|よくある疑問(Q&A)
壁に棚を作る作業に関して、初心者が特に疑問に思うことをまとめました。
Q. 石膏ボードに棚をつけても大丈夫ですか?
A. 石膏ボード専用のアンカーを使えば、問題なく棚を取り付けられます。ただし、耐荷重には限界があるため、重いもの(本棚など)を載せたい場合は、できるだけ間柱などの下地がある場所に固定することをおすすめします。どうしても下地がない場所に設置する場合は、複数のアンカーを使って荷重を分散させましょう。
Q. 下地がまったく見つからない場合はどうすればいいですか?
A. 間柱探知器を使って探しても見つからない場合や、そもそも下地がない壁の場合は、石膏ボード用アンカーを複数使って対応するしかありません。ただし、あまりに重いものを載せるのは避け、軽量な棚(装飾棚など)として使用するのが無難です。どうしても重い棚が必要な場合は、専門業者に相談することを検討しましょう。
Q. レンガ壁やコンクリート壁に棚を取り付けるのは難しいですか?
A. 専用の工具(振動ドリルとコンクリート用ビット)とプラグを用意すれば、可能です。ただし、コンクリートやレンガは硬いため、穴あけに時間がかかりますし、粉塵も多く出ます。慎重に作業すれば初心者でも挑戦できますが、不安な場合はプロに依頼するのもひとつの方法です。
Q. 取り付けた棚が傾いてしまいました。直せますか?
A. 金具を外し、印をつけ直してやり直すのが確実です。すでに開いた穴は、石膏ボード用パテなどで埋めて補修しましょう。もし傾きがわずかであれば、棚板の下に薄いスペーサーを挟んで調整する方法もありますが、根本的には金具の位置を修正するのがおすすめです。
Q. 壁に棚を作るのに、どのくらいの時間がかかりますか?
A. 初心者の場合、準備や下地探しを含めて2〜3時間程度を見ておくとよいでしょう。慣れている人なら30分〜1時間程度で完了することもあります。急がずに、ひとつひとつの工程を丁寧に行うことが大切です。
壁に棚を作るときの安全上の注意点
作業を安全に進めるために、以下の点に必ず注意してください。
- 壁の裏側の配管・電線を事前に確認する:水道管、ガス管、電線を傷つけると、水漏れや感電、火災など重大な事故につながります。コンセントやスイッチの位置から配線を推測するなど、可能な限りリスクを回避しましょう。
- 保護メガネを着用する:穴あけの際に目に粉塵や破片が入らないように、必ず保護メガネをかけましょう。
- 電動工具の取扱説明書を読む:初めて使う工具は、必ず説明書を読んで正しい使い方を確認してください。特にコンクリート用の振動ドリルは、使い方を間違えるとケガの原因になります。
- 脚立や台を安定させる:高い場所に取り付ける場合は、脚立や台をしっかり安定させてから作業を行ってください。不安定な状態で作業すると転落の危険があります。
- 作業後は必ずぐらつきを確認する:取り付け後、棚を少し押したり揺らしたりして、ぐらつきがないか確認しましょう。安全が確認できるまで、物を載せるのは避けてください。
まとめ|壁に棚を作るなら、準備と手順をしっかり確認しよう
壁に棚を作る作業は、正しい準備と手順を踏めば、DIY初心者でも十分に挑戦できるものです。この記事で紹介したポイントを改めておさらいしましょう。
- 最初に壁の素材を確認し、それに合った金具や工具を選ぶことが何より大切です
- 下地(間柱)を見つけて固定できれば、もっとも強固な棚が作れます
- 下地がない場所では、石膏ボード用アンカーなど適切なアンカーを使いましょう
- 水平を出すために水準器を必ず使い、印付けは慎重に行います
- 金具の耐荷重を確認し、載せる物の重さに合ったものを選びます
- 作業中は安全に十分注意し、取り付け後は必ずぐらつきチェックを行います
壁に棚を作れば、部屋の収納力がアップするだけでなく、インテリアのアクセントにもなります。この記事を参考に、自分だけの素敵な壁面収納を作ってみてください。
もし作業に不安がある場合や、専門的な判断が必要な場合は、無理をせずにDIYの専門店やホームセンターのスタッフに相談したり、プロの業者に依頼するのもひとつの選択肢です。何よりも安全第一で、楽しいDIYライフをお過ごしください。


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