ナットリベットってどんな部品?
「ナットリベット」は、うすい板やパイプにあとからネジ山(めねじ)を作れる便利な部品です。
金属の板にボルトを通したいけど、板が薄すぎてタップが切れない……そんなときに活躍します。裏側に手が届かなくても、表側から工具でかしめるだけで固定できるので、自動車の板金やサッシ、家具、看板のDIYなど、幅広いシーンで使われています。
「ブラインドナット」や「エビナット」とも呼ばれることもありますが、基本的には同じものを指します。一般的なリベット(ブラインドリベット)は「板と板を固定する」ためのものですが、ナットリベットは「板にネジ山を作る」ためのものという違いがあります。
専用工具がないと使えないの?
ナットリベットの取り付けには、専用工具があるとスムーズです。でも、必ずしも専用工具がなくても取り付けられます。
取り付け方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
- ハンドナッター(専用工具)を使う方法
- ちょっとナッター(簡易キット)を使う方法
- ボルト+ナット+レンチを使う完全手動の方法
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
ハンドナッターを使った取付方法
ナットリベットを頻繁に使うなら、専用のハンドナッターを用意するのがおすすめです。工具さえあれば、短時間で確実に施工できます。
必要なもの
- ナットリベット(使用するサイズ・材質のもの)
- ハンドナッター(ナットリベットのサイズに合ったマンドレルを装着)
- 電動ドリルとドリルビット(下穴用)
- 保護メガネ(安全のため)
手順
① 下穴を開ける
ナットリベットのサイズに合った下穴を、電動ドリルで開けます。下穴径は製品によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
- M4サイズの場合:φ6.0〜6.2mm
- M5サイズの場合:φ7.0〜7.2mm
- M6サイズの場合:φ9.0〜9.2mm
必ず使用するナットリベットの仕様を確認してから作業してください。下穴が大きすぎるとガタつきの原因になり、小さすぎるとナットリベットが入りません。
② ナットリベットをセットする
ハンドナッターの先端(マンドレル)に、ナットリベットのネジ部分を手で軽くねじ込みます。
③ 下穴に差し込む
ナットリベットを下穴にしっかり差し込みます。フランジ(つばの部分)が素材の表面に密着していることを確認してください。
④ かしめる
ハンドナッターのハンドルをゆっくりと閉じていきます。急に力を入れず、徐々に握り込むのがコツです。ハンドルが完全に閉じたら、そのままの状態でマンドレルを回してナットリベットから外します。
⑤ 仕上がりを確認する
ナットリベットがしっかり固定されているかを確認します。内部のネジ山が正常に機能しているか、簡単なボルトでチェックすると安心です。
ハンドナッターを使うメリット・デメリット
メリット
- 短時間で効率的に施工できる
- 安定した仕上がりになる
- 力を入れすぎてマンドレルを折るリスクが比較的少ない
デメリット
- 工具の購入費用がかかる(約3,000円〜8,000円程度)
- サイズごとにマンドレル交換が必要な機種もある
- 頻繁に使わないとコストに見合わないことも
向いている人
- ナットリベットを複数箇所に使う予定がある人
- 作業効率を重視したい人
- 確実な施工を求める人
向いていない人
- 1〜2個だけしか使わない人
- なるべく費用を抑えたい人
ちょっとナッターを使った取付方法
「ちょっとナッター」は、専用のハンドナッターよりコンパクトで安価な簡易取付キットです。レンチを使ってかしめる仕組みになっています。
必要なもの
- ちょっとナッターキット
- 六角レンチ
- メガネレンチまたはスパナ
- 電動ドリルとドリルビット
手順
① 下穴を開ける(ハンドナッターと同じ)
② ナットリベットをセットする
ちょっとナッターの先端にナットリベットをねじ込みます。
③ 下穴に差し込む
④ レンチで締め付ける
六角レンチで本体を固定しながら、メガネレンチでナットを締めていきます。ナットリベットがかしめられて固定されます。
⑤ 工具を取り外す
かしめが完了したら、六角レンチとメガネレンチを使って工具本体を外します。
ちょっとナッターを使うメリット・デメリット
メリット
- ハンドナッターより安価(約1,000円〜2,500円程度)
- コンパクトで収納場所を取らない
- 使用頻度が少ない人にちょうどよい
デメリット
- ハンドナッターより手間がかかる
- 力加減の調整がやや難しい
- 作業に慣れが必要
向いている人
- ごくたまにしかナットリベットを使わない人
- 予算を抑えたい人
- 収納スペースが限られている人
向いていない人
- 頻繁に作業する人
- 短時間で多くの箇所を施工したい人
工具なし(完全手動)での取付方法
専用工具がなくても、六角レンチとメガネレンチ、そしてナットリベットに合ったサイズのボルトとナットがあれば取り付けられます。「本当にたった1回だけ」という場合に試してみる価値があります。
必要なもの
- ナットリベット
- ナットリベットのネジサイズに合ったボルト
- ボルトに合うナット
- 六角レンチ
- メガネレンチまたはスパナ
- 電動ドリルとドリルビット
手順
① 下穴を開ける(同じ)
② ボルトとナットを準備する
ナットリベットのネジサイズと同じボルトを用意し、ボルトにナットを軽く仮締めしておきます。
③ ボルトにナットリベットを通す
ボルトの先端にナットリベットをねじ込み、その後に仮締めしたナットをナットリベットのフランジ側に密着させます。
④ 下穴に差し込む
ボルトに通したナットリベット全体を下穴に差し込みます。
⑤ レンチで締め付ける
六角レンチでボルトの頭を固定しながら、メガネレンチでナットを締めていきます。ナットを締めると、ナットリベットが押し込まれてかしめられます。
⑥ ボルトを外す
かしめが完了したら、ボルトを回してナットリベットから外します。これで取り付け完了です。
完全手動のメリット・デメリット
メリット
- 専用工具を買わなくて済む
- 特別な部材を用意しなくても始められる
- 緊急時や試し作業に便利
デメリット
- 工具を使う方法より時間がかかる
- 力加減が難しく、かしめが不十分になる可能性がある
- 安定した仕上がりになりにくいことがある
向いている人
- たった1個だけ取り付けたい人
- 工具を購入する前に試してみたい人
- 緊急でどうしても必要な場合
向いていない人
- 複数個取り付ける予定がある人
- 仕上がりの確実さを求める人
ナットリベットを使うときの注意点
下穴径を正確に測ろう
下穴径は、ナットリベットの施工の成否を左右する最重要ポイントです。製品ごとに指定された下穴径を必ず守ってください。1mmの違いでも、ガタつきや抜けの原因になります。
対応板厚を確認しよう
ナットリベットには、それぞれ対応できる板厚の範囲が決められています。板が厚すぎると正常にかしめられず、薄すぎると固定強度が出ません。購入前に、自分の作業に合った製品かを確認しましょう。
ハンドナッターはゆっくり握ろう
ハンドナッターでかしめるときは、一気に握り込まず、ゆっくりと力をかけるのがコツです。急に力を入れると、マンドレル(先端の棒)が折れてしまうことがあります。
ナッターとリベッターは別物
見た目がよく似ている「リベッター」と「ナッター」は、全く別の工具です。
- リベッター:ブラインドリベット(板と板を固定するリベット)を取り付ける工具
- ナッター:ナットリベット(板にネジ山を作る)を取り付ける工具
間違えて購入しないよう、工具を選ぶときは注意してください。
よくある質問
Q. ナットリベットは外せますか?
基本的には取り外しが難しい部品です。一度かしめると、簡単には外れません。どうしても外す必要がある場合は、ドリルで削り落とすか、やすりで削る方法がありますが、周囲の素材を傷つけるリスクがあります。
Q. ナッターとナットリベットの違いは?
- ナッター:ナットリベットを取り付けるための工具
- ナットリベット:板にネジ山を作るための部品
この2つはセットで使われることが多いですが、役割が違うので混同しないようにしましょう。
Q. アルミ板にも使えますか?
はい。ナットリベットにはスチール製、アルミ製、ステンレス製など、さまざまな材質があります。使用する素材や環境に合わせて選びましょう。錆びやすい場所ではステンレス製やアルミ製を選ぶとよいです。
Q. 何回でも締め付けられますか?
ナットリベットの内部にはネジ山が切られています。通常のナットと同じように、ボルトを締めたり緩めたりは何度でも可能です。ただし、必要以上に強いトルクで締め付けすぎると、ネジ山を痛めたり、ナットリベット自体が回転してしまうことがあります。
まとめ
ナットリベットは、薄い板にネジ山をあとから作れる便利な部品です。取り付け方法には以下の選択肢があります。
| 方法 | 必要なもの | 向き不向き |
|---|---|---|
| ハンドナッター | 専用工具 | 頻繁に使う人・作業効率重視の人 |
| ちょっとナッター | 簡易キット | たまに使う人・予算を抑えたい人 |
| 完全手動 | ボルト+ナット+レンチ | 1回だけの人・緊急時 |
どの方法を選ぶにしても、下穴径と板厚の確認が最も大切です。購入前に仕様をしっかりチェックしてから作業を始めましょう。
ナットリベットの使い方を覚えれば、DIYや修理の幅がぐっと広がります。ぜひ、自分の作業スタイルに合った方法でチャレンジしてみてください。

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