DIYや木工で「トリマー」を使い始めると、次に直面するのがビット選びではないでしょうか。
「ストレート」「トリミング」「面取り」……名前は聞いたことがあるけど、何が違うのか分からない。どれを選べばいいのか迷ってしまう。
この記事では、トリマービットの基本的な種類と、それぞれの用途、選び方のポイントをわかりやすく解説していきます。これを読めば、あなたのやりたい加工にぴったりのビットが見つかるはずです。
トリマービットの種類とそれぞれの特徴
トリマービットは、その形状によってできる加工がまったく異なります。まずは、代表的なビットの種類と特徴を押さえていきましょう。
1. ストレートビット(溝掘り・くり抜きの基本)
もっとも汎用性が高いのが、このストレートビットです。刃がまっすぐな形状で、溝掘りやくり抜き、ほぞ穴加工など、トリマーを使う上での基本作業のほとんどに対応できます。
- 特徴:直線的な刃を持つ。ベアリング(ガイド)がなく、自分でまっすぐに動かす必要がある
- メリット:汎用性が高く、初心者が最初に買う1本としてもおすすめ。価格も比較的リーズナブル
- デメリット:ガイドがないため、フリーハンドでまっすぐな溝を掘るには練習が必要
- 向いている人:とりあえず1本目を揃えたい人、さまざまな加工を試したい人
- 向いていない人:テンプレート(型)を使った加工をメインにしたい人
2. トリミングビット(テンプレート加工の必須アイテム)
トリミングビットの最大の特徴は、先端または軸部分にベアリング(回転するガイド)が付いていることです。このベアリングをテンプレート(型)に沿わせて動かすことで、まったく同じ形を複製するように加工できます。
- 特徴:ベアリング付き。ベアリングの位置によって「先端ベアリングタイプ」と「軸ベアリングタイプ」がある
- メリット:テンプレートに沿って動かすだけで、誰でも簡単に正確な形を切り出せる
- デメリット:ストレートビットよりやや高価な傾向がある
- 向いている人:同じ形のパーツを複数作りたい人、曲線の加工をしたい人
- 向いていない人:深い溝掘りがメインの人(ストレートビットの方が適している)
3. 面取りビット(エッジをきれいに仕上げる)
板の角を面取り(角を落としてなめらかにする)するためのビットです。45度の角度でカットするのが一般的で、仕上がりがぐっとプロっぽくなります。
- 特徴:45度の角度がついた刃。ベアリング付きで、板の端に沿って動かすだけで使える
- メリット:簡単にきれいな面取りができ、仕上がりの見た目が大幅に向上する
- デメリット:面取りの角度やサイズ(C面の幅)ごとにビットを買い揃える必要がある
- 向いている人:作品の角をきれいに仕上げたい人、家具や小物作りをしている人
- 向いていない人:溝掘りやくり抜きだけをしたい人
4. R溝ビット(半円の装飾溝を掘る)
刃先が半円(R形状)になっているビットです。板に半円の溝を掘ることで、装飾的なデザインを加えられます。棚板の端に掘ると、指をかけやすくなる実用的な使い方もできます。
- 特徴:半円形状の刃。R(半径)のサイズが異なるものが多数ある
- メリット:ワンランク上の装飾加工ができる
- デメリット:掘った溝のサイズはビットのRサイズに依存するため、用途に合わせて複数サイズを揃える必要がある
- 向いている人:装飾的な溝を掘りたい人、デザイン性を重視する人
- 向いていない人:実用的な直線溝だけを掘りたい人
5. V溝ビット(彫刻や接合用に)
V字型の刃を持つビットです。文字の彫刻や装飾的な線彫りに使われるほか、板を斜めに接合する際の溝掘りにも利用されます。
- 特徴:V字形状(角度は45度や60度、90度などがある)
- メリット:繊細な線彫りや文字入れができる
- デメリット:深く掘りすぎると刃先が折れやすいので注意が必要
- 向いている人:木工品に文字や模様を彫りたい人
- 向いていない人:実用的な溝掘りや構造材の加工がメインの人
6. ラビットビット(段付き加工に)
一度に2段階の加工ができるビットです。板の端に段差(ラビット)をつけることで、棚板の受けや合わせ継ぎ(組み手)などの構造を作れます。ベアリングが付いているものが多く、板の端に沿って動かすだけで正確に加工できます。
- 特徴:2段階の刃径を持ち、段差加工が一度にできる。ベアリング付きが主流
- メリット:棚受けや継ぎ手の加工が一度で完了する
- デメリット:用途がやや限定される
- 向いている人:本棚や箱ものを作る人
- 向いていない人:基本的な溝掘りだけをしたい人
7. ドーブルビット(ビスケット接合用)
ビスケットジョイナー(ドーブルマシン)という専用工具で使うことを前提とした特殊なビットです。板材同士を接合するときに、ドーブル(木製の継ぎ手)を差し込むための穴を掘ります。
- 特徴:専用工具(ドーブルマシン)で使用する特殊形状
- メリット:接合強度が高く、位置決めがしやすい
- デメリット:専用工具が必要。汎用トリマーには取り付けられない場合がある
- 向いている人:ビスケットジョイナーを持っていて、接合作業を効率化したい人
- 向いていない人:通常のトリマーだけを使っている人
トリマービットを選ぶ前に確認すべきこと
種類がわかったところで、実際にビットを選ぶときに必ず確認しておきたいポイントを整理します。
シャンク径(軸の太さ)を確認する
ビットを選ぶ前に、あなたが持っているトリマー本体のコレット(ビットを固定する部分)のサイズを必ず確認しましょう。
国内で一般的なのは以下の2種類です。
- 6mm:マキタをはじめとする多くの国産トリマーで採用されている
- 8mm:ボッシュのトリマー(GFKシリーズなど)や、一部の国産・海外メーカーで採用されている
このサイズが合わないビットは、そもそも取り付けられません。ビットを購入するときは、まずパッケージに「シャンク径6mm」または「8mm」と書かれているかを必ずチェックしてください。
なお、海外製品では「1/4インチ(約6.35mm)」や「1/2インチ(約12.7mm)」といったインチ規格もありますが、日本の家庭用トリマーでは6mmまたは8mmが一般的です。もし海外製品のトリマーを使う場合は、インチ規格かどうかも確認しましょう。
ベアリングの有無をチェックする
ビットによって、ベアリング(ガイド)が付いているものと付いていないものがあります。
- ベアリングなし(ストレートビットなど):自由に動かせる反面、まっすぐな線を引くにはガイドや定規が別途必要
- ベアリングあり(トリミングビット・面取りビットなど):ベアリングをガイドにできるので、型(テンプレート)に沿った加工や、板の端に沿った加工が簡単にできる
「テンプレートを使って同じ形を切り出したい」という場合は、必ずベアリング付きのビット(トリミングビット)を選びましょう。
刃の材質にも注目する
ビットの刃の材質も、価格や耐久性に影響します。
- ハイス鋼(HSS):一般的な材質。価格が手頃で、初心者でも扱いやすい。ただし、超硬チップに比べると摩耗しやすい
- 超硬チップ(TCT):耐久性が高く、切れ味が長持ちする。価格は高めだが、長く使いたい人や頻繁に使う人におすすめ
よくある疑問
Q. まず最初に買うべきビットは何ですか?
初心者の方は、ストレートビット(6mmまたは8mm)をまず1本買うのがおすすめです。溝掘りやくり抜きなど、トリマーの基本作業のほとんどをカバーできます。
次に、テンプレート加工をしたい場合はトリミングビット、角の仕上げをきれいにしたい場合は面取りビットを追加すると、できることの幅がぐっと広がります。
Q. 安いビットと高いビットは何が違うのですか?
価格差の主な要因は、材質と製造精度です。安価なビットはハイス鋼(HSS)が使われていることが多く、高価なものは超硬チップ(TCT)だったり、製造工程での研磨精度が高かったりします。コスパを重視するならハイス鋼、長く使い続けるなら超硬チップを選ぶとよいでしょう。
Q. ストレートビットでテンプレート加工はできますか?
できません。ストレートビットにはベアリング(ガイド)が付いていないため、テンプレートに沿って正確に動かすことが難しいです。テンプレート加工をするなら、必ずトリミングビットを使いましょう。
トリマービットの安全な使い方
どんなに良いビットを選んでも、安全に使わなければ意味がありません。以下のポイントは必ず守ってください。
- 保護メガネと防塵マスクは必ず着用する:飛散する木くずや粉塵から目や呼吸器を守ります
- シャンク径が合わないビットは絶対に使わない:固定が不完全だと、回転中にビットが飛び出す危険があります
- 送り方向を間違えない:トリマーは刃の回転方向に対して逆方向(カウンター回転方向)に送るのが基本です。間違えるとキックバック(工具が跳ね返る現象)が起こり、大変危険です
- 摩耗したビットは交換する:切れ味が落ちたビットを使い続けると、加工精度が悪くなるだけでなく、過剰な負荷がかかって危険です
使用前に必ずトリマー本体の取扱説明書を読み、記載されている安全上の注意事項を確認してください。
まとめ:まずは自分の用途に合った1本から始めよう
トリマービットの種類は多岐にわたりますが、何より大切なのは「自分が何を作りたいか」です。
- とりあえず汎用的に使いたい → ストレートビット
- テンプレートを使って形を切り出したい → トリミングビット
- 角をきれいに仕上げたい → 面取りビット
- 装飾的な溝を掘りたい → R溝ビットやV溝ビット
最初からすべてを揃える必要はありません。まずは自分のやりたい加工に合った1本を選び、使いながら徐々にビットを増やしていくのが、無理のない始め方です。
ビットを選ぶときは、シャンク径が自分のトリマーに合っているかを最優先に確認してください。そのうえで、形状や材質を比較して、自分にぴったりの1本を見つけてください。

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