工作やDIYをしていると、「薄い金属板にネジ穴を作りたい」という場面がよくあります。そんなときに役立つのが「ナッター」という工具です。
でも、「ナッターってそもそも何?」「リベッターと何が違うの?」「どうやって使えばいいの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ナッターの基本的な使い方から種類の違い、選び方のポイント、そしてよくある失敗とその対策まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ナッターとは?リベッターとの違いをまず確認
ナッターとは、薄い板やパイプ材など、通常のタップ加工が難しい材料にネジ穴(雌ネジ)を後付けするための工具です。
専用のナット(ブラインドナット)を専用工具で引き込んで変形させ、材料に固定することで、そこにボルトを締め付けられるようにします。いわば、薄板に「ナット」を増設するための道具というイメージです。
一方、リベッターはリベット(かしめピン)を使って板と板を永久に固定するための工具です。リベットは一度固定すると基本的に取り外せないのに対し、ナッターで作ったネジ穴はボルトを外せば取り外しが可能です。この「取り外せるかどうか」という点が、両者の最も大きな違いです。
ナッターの種類と特徴
ナッターにはいくつかの種類があり、目的や使用頻度によって選ぶべきものが変わります。ここでは主な4つのタイプを紹介します。
ハンドナッター
最も一般的なタイプで、手動でレバーを握ってかしめます。
- 特徴:電源不要で持ち運びが簡単
- メリット:安価でDIY初心者に最適
- デメリット:力が必要で連続作業には不向き
- 向いている人:たまに使うDIYユーザー
- 向いていない人:毎日連続で使うプロ作業者
電動ナッター
バッテリー式や電源式で、スイッチを押すだけでかしめられます。
- 特徴:身体への負担が少なく作業効率が良い
- メリット:長時間の作業でも疲れにくい
- デメリット:高価(業務用は10万円以上も)
- 向いている人:頻繁にナッター作業を行う人
- 向いていない人:たまにしか使わないDIYユーザー
エアナッター
エアコンプレッサーに接続して使用するタイプです。
- 特徴:トリガーを引くだけでかしめられる
- メリット:連続作業に最適でプロ仕様
- デメリット:コンプレッサーが必要で高価
- 向いている人:自動車板金やスチール家具製造のプロ
- 向いていない人:一般DIYユーザー
ちょっとナッター
厳密にはナッター本体を使わず、六角棒レンチなどで取り付ける簡易タイプのナットです。
- 特徴:専用工具が不要
- メリット:ナッター本体を買わずに済む、安価(6個入り約1,000円程度)
- デメリット:ある程度の力が必要
- 向いている人:ナッターを購入するほど頻繁に使わない人
- 向いていない人:多くの作業を行う人、力に自信がない人
ナッターの基本的な使い方(4ステップ)
ここからは、ハンドナッターを使った基本的な作業手順を解説します。
ステップ1:下穴を開ける
まず、ナットを取り付けたい材料に下穴を開けます。このときの穴径が非常に重要です。大きすぎるとナットが抜けてしまい、小さすぎるとナットが入りません。
目安となる下穴径は以下の通りです(アルミナットの場合)。
- M4:6.0〜6.2mm
- M5:7.0〜7.2mm
- M6:9.0〜9.2mm
使用するナットのサイズに合わせて、正確に穴を開けましょう。
ステップ2:ノーズピースとマンドレルを交換する
使用するナットのサイズに合わせて、ナッターの先端部分(ノーズピース)と芯棒(マンドレル)を交換します。多くのナッターには複数のサイズのアタッチメントが付属しているので、それを使い分けます。
ステップ3:ナットをマンドレルに装着する
専用のブラインドナット(エビナットなど)を、マンドレルのねじ部分に手で軽くねじ込みます。このとき、ナットがしっかりと奥まで入っていることを確認してください。
ステップ4:ハンドルを引いてかしめる
ナットを下穴に差し込み、ハンドルを握って引き込みます。
ここが重要なポイントです。
いきなり全力でハンドルを握らず、ゆっくりとハンドルを引き、負荷がかかり始めたところから徐々に力を入れていきます。専用のナットが変形して材料に固定されたら完了です。
もし無理に強く握ると、マンドレルが折れる原因になります。特に初心者の方は、この「力加減」に注意しましょう。
ナッターを使うときの注意点とよくある失敗
マンドレルが折れてしまったら?
マンドレルは消耗品です。特に安価な製品では、数回の使用で折れてしまうこともあります。折れてしまった場合は、交換用のマンドレルを購入して交換しましょう。マンドレルはメーカーや製品ごとに専用のものがあるので、適合するものを選んでください。
ナッターとリベッターを間違えない
見た目が似ているため混同しやすいですが、用途がまったく異なります。購入前に「ネジ穴を作りたいのか」「板を固定したいのか」を明確にしましょう。
下穴径を間違えない
先述の通り、下穴径を間違えるとナットが正しく固定されません。購入したナットの仕様書や製品パッケージに記載されている下穴径を必ず確認しましょう。
ステンレスのナットはハンドナッターで使える?
ハンドナッターでステンレス製のブラインドナットを使用する場合は注意が必要です。ステンレスは硬いため、ハンドナッターでは力が足りず、正しくかしめられないことがあります。ステンレスナットを使用する場合は、電動ナッターやエアナッターの使用を検討するか、スチールやアルミ製のナットを選びましょう。
ナッターのメンテナンス
ナッターを長く使うためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特にマンドレルのねじ部分には潤滑油をこまめに差しておくことが推奨されます。これにより、スムーズな動作が維持され、マンドレルの摩耗や破損を防ぐことができます。
初心者が最初に選ぶならどのナッター?
初めてナッターを購入するなら、ハンドナッターが無難な選択肢です。価格も比較的安く、電源も不要で、DIY初心者でも扱いやすいからです。
ただし、あくまで「たまに使う」「数個だけナットを増設したい」という場合に向いています。頻繁に使う予定があるなら、電動ナッターやエアナッターへの買い替えも視野に入れておくとよいでしょう。
ナッターに関するよくある質問
Q. ナッターとリベッターは何が違うの?
A. ナッターは薄板にネジ穴(雌ネジ)を作る工具で、リベッターは板と板を永久固定する工具です。ナッターで作ったネジ穴はボルトを外せば取り外しが可能ですが、リベットは取り外しができません。
Q. マンドレルが折れたらどうすればいい?
A. 交換用のマンドレルを購入して交換してください。マンドレルは消耗品なので、予備を用意しておくと安心です。
Q. ハンドナッターでステンレスのナットは使える?
A. 力が足りず正しくかしめられないことがあります。ステンレスナットを使用する場合は、電動ナッターやエアナッターの使用を検討するか、スチールやアルミ製のナットを選びましょう。
Q. 下穴は何mm開ければいい?
A. M4なら6.0〜6.2mm、M5なら7.0〜7.2mm、M6なら9.0〜9.2mmが目安です。使用するナットの仕様を必ず確認してください。
まとめ:ナッターを使いこなしてDIYの幅を広げよう
ナッターは、薄板にネジ穴を後付けできる便利な工具です。リベッターとは用途が異なり、取り外し可能な固定がしたい場合に活躍します。
今回解説したポイントをおさらいすると、
- ナッターは薄板にネジ穴を作る工具(リベッターは永久固定)
- 主な種類はハンド・電動・エア・ちょっとナッター
- 使い方は下穴→ノーズピース交換→ナット装着→ハンドル引き込みの4ステップ
- 下穴径を間違えないこと、マンドレルを折らないようにゆっくり引くことが重要
- 初心者はハンドナッターから始めるのが無難
ナッターを正しく使えるようになると、今までできなかった工作やDIYの幅がぐっと広がります。ぜひこの記事を参考に、自分に合ったナッターを選んで、安全に作業を楽しんでください。
なお、価格や仕様は変更される場合があります。購入前には必ず各製品の公式情報をご確認ください。

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