金属や樹脂の部材を固定するときに、ネジやボルトの代わりに使われる「ブラインドリベット」。名前は聞いたことがあるけれど、実際にどういうものか、どんなときに使うのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブラインドリベットの基本的な定義から、種類、選び方、実際の使い方までをわかりやすく解説します。DIYで初めて使う方も、現場で選定を担当する方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
ブラインドリベットとは?基本の定義と構造
ブラインドリベットは、JIS規格(JIS B 0147:2004)で「その挿入及び装着の作業が片側方向からだけしか行えなくても、一つの組立品を構成する部品を互いに締め付ける能力をもつ機械的な締結用部品」と定義されています。
もっと簡単に言うと、片側からの作業だけで部材同士を固定できるリベットのことです。
構造としては、大きく分けて「本体」と「マンドレル(芯棒)」の2つの部品で構成されています。本体は頭部・胴部・端部・心部に分かれ、マンドレルはこの本体の中を通っています。専用の工具(リベッター)でマンドレルを引き抜くと、胴部が変形して広がり、裏側から部材を押さえる仕組みです。
この「片側から施工できる」という特性こそが、ブラインドリベットの最大の特徴であり、他の締結方法とは大きく異なるポイントです。
ブラインドリベットのメリットとデメリット
ブラインドリベットがどのような場面で使われているのかを知るために、まずはメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
片側から作業できる
パイプの内側や壁の裏側など、両側に手が届かない場所でも施工可能です。これがブラインドリベット最大の強みです。
施工が簡単で早い
専用工具を使えば、穴を開けてリベットを挿入し、レバーを握るだけで固定できます。ボルト・ナットのように締め付ける手間がなく、大量の接合作業にも対応しやすいです。
異なる素材の接合が可能
金属同士だけでなく、金属と樹脂、金属と木材など、異なる素材の接合にも使えます。
振動に強い
ネジのように緩む心配が少なく、振動がかかる部分でも安定した固定力を発揮します。
デメリット
取り外しができない
一度施工すると、基本的には破壊しないと外せません。分解やメンテナンスを前提とした部位には向いていません。
高強度が求められる構造には不向き
ボルト・ナットと比べると、引張強度やせん断強度は劣る場合が多いです。建築構造物の主要部分など、高い強度が求められる場所には適していません。
施工後の仕上がりにコツがいる
工具の使い方やリベットの選び方を誤ると、カシメが甘くなったり、マンドレルがうまく破断しなかったりすることがあります。
メリットとデメリットを踏まえたうえで、どんな場面で使うのかをイメージしておくと、選びやすくなります。
ブラインドリベットの種類と特徴
ブラインドリベットには、頭部の形状や胴部の構造によっていくつかの種類があります。代表的なものを紹介します。
標準タイプ(丸頭)
もっとも一般的なタイプで、頭部がドーム状になっています。サイズや材質のバリエーションが豊富で、DIYから工業用途まで幅広く使われています。
皿頭タイプ
頭部が皿状になっており、施工後に母材の表面から頭部が出ない(面一になる)のが特徴です。外観を重視する製品や、表面に段差を付けたくない場合に選ばれます。ただし、母材に皿穴加工(座ぐり)が必要な場合がある点は注意です。
ラージフランジタイプ
フランジ(ツバ)の直径が大きいタイプです。樹脂やFRPなどの柔らかい素材への食い込みを防ぎたい場合や、下穴の位置が多少ずれてもカバーしたい場合に使われます。
シールドタイプ(密閉形)
胴部が密閉されており、マンドレルの頭部が外部に露出しない構造です。気密性や防水性が求められる屋外の用途や、マンドレルの破断片が内部に落ちることを避けたい精密機器の組み立てなどに適しています。
このほかにも、胴部が割れるように変形する「割り形」や、溝が入った「溝付き形」などもあります。どんな形状を選ぶかは、接合する素材や求められる機能によって変わってきます。
ブラインドリベットの選び方
実際にブラインドリベットを選ぶときには、以下の3つのポイントを軸にすると失敗しにくいです。
1. サイズ(リベット径とかしめ可能板厚)
ブラインドリベットには、リベットの直径(φ2.4、φ3.2、φ4.0、φ4.8、φ6.4mmなど)と、施工可能な板厚(適正かしめ板厚)が決められています。
接合する部材の合計厚みが、リベットの「適正かしめ板厚」の範囲内に入っているものを選ぶのが基本です。厚みが足りないとカシメが甘くなり、厚すぎるとマンドレルが最後まで引っ張れずに施工できません。
2. 材質(母材との組み合わせ)
リベットの材質は、アルミニウム、鉄、ステンレスなどさまざまです。選ぶ際には、母材と同じ材質を選ぶのが原則です。
異なる金属を組み合わせると、電食(異種金属接触腐食) が発生するリスクがあります。特に湿気の多い場所や屋外では注意が必要です。たとえば、アルミの板に鉄のリベットを使うと、アルミ側が腐食しやすくなります。
材質の組み合わせは、メーカーの規格表で確認しながら選びましょう。
3. 形状(用途に合わせて)
先述したように、丸頭、皿頭、ラージフランジ、シールドタイプなど用途に応じて形状を選びます。外観を気にするなら皿頭、柔らかい素材ならラージフランジ、防水性が重要ならシールドタイプというように、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
ブラインドリベットの使い方と施工手順
実際にブラインドリベットを使うときの基本的な流れは、以下のとおりです。
1. 下穴を開ける
接合する部材に、リベットの直径に合った下穴を開けます。下穴径はリベットのサイズによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
2. リベットを挿入する
開けた下穴にブラインドリベットを差し込みます。
3. リベッター(専用工具)でマンドレルを引き抜く
リベッターのノーズピースにマンドレルをセットし、ハンドルを握ってマンドレルを引き抜きます。
4. マンドレルが破断して施工完了
マンドレルが一定の力で破断し、リベットの胴部が広がって固定されます。破断したマンドレルの先端部分は廃棄します。
専用工具には、手動式のハンドリベッターのほか、エア式やコードレス式のものもあります。使用頻度や作業量に合わせて選ぶとよいでしょう。
よくある疑問
Q. どのサイズを選べばいいですか?
接合する板の合計厚みが、リベットの「適正かしめ板厚」の範囲内に入るものを選びます。各メーカーの規格表に適合板厚が記載されているので、事前に確認しましょう。
Q. どんな工具が必要ですか?
専用のリベッターが必要です。ハンドルを握って操作する手動式がもっとも一般的で、DIY用途ならこれで十分です。頻繁に使う場合や作業量が多い場合は、エア式や電動式も選択肢になります。
Q. ブラインドリベットとボルト・ナットはどう使い分ければいいですか?
取り外しを前提としない固定や、片側からしか作業できない場所にはブラインドリベットが適しています。一方、分解やメンテナンスが必要な部分や、高い強度が求められる箇所にはボルト・ナットを選ぶとよいでしょう。
まとめ
ブラインドリベットは、片側からの施工が可能で、作業性に優れた締結部品です。DIYから工業用途まで幅広く使われており、適切なサイズ・材質・形状を選ぶことで、しっかりとした固定が実現できます。
選ぶ際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- サイズ:接合する板厚に合った適正かしめ板厚のものを選ぶ
- 材質:母材と同じ材質を選び、電食に注意する
- 形状:用途に合わせて丸頭・皿頭・ラージフランジなどから選ぶ
価格や仕様は変更される場合があります。購入前には各メーカーの公式情報や販売ページで最新のスペックや対応板厚を必ずご確認ください。

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