「そろそろインパクトドライバーを新調したいんだけど、マキタのTD173って実際どうなの?」
DIYで家具を組んだり、ちょっとしたリフォームを自分でやったりする方なら、一度は耳にしたことがある機種だと思います。電動工具売り場で「これが一番新しいやつか」と手に取ったものの、値段もそれなりにするし、旧モデルとの違いがイマイチわからず迷っている。そんな声をよく聞くんですよね。
今回は、実際に手に取って使ってみた感触も交えながら、マキタ TD173 のリアルな実力を深掘りしていきます。カタログスペックだけじゃ伝わらない「ここが使いやすい」「ここは注意」というポイントを、包み隠さずお話ししますね。
まずはスペックのおさらい。マキタTD173は何がすごいのか
電動工具を選ぶとき、どうしても数字を追いかけがちです。トルクが何ニュートンだ、回転数がいくつだと。でもTD173に関しては、数字よりも「実際の使い勝手の進化」に注目してほしい機種なんです。
基本性能をざっくりまとめると、最大トルクは180N・m。これは前モデルのTD172と全く同じ数値です。回転数も最大3,600rpmで変わりません。じゃあ何が変わったの?という話になるのですが、実はこのモデル、数字に表れない部分でものすごくブラッシュアップされているんです。
まず本体サイズ。全長が111mmになり、TD172よりも3mm短くなっています。「たった3mm?」と思うかもしれませんが、インパクトドライバーは狭い場所で使うことが多い工具。この3mmの差が「あとちょっと入らない!」というストレスを減らしてくれます。
質量はバッテリー込みで約1.5kg。18Vクラスとしては標準的な重さですが、後述する重心設計の見直しによって、実際に持ったときの体感重量はかなり軽く感じるはずです。
暗い場所で感動する「リング照明」。これがTD173最大の目玉機能
TD172からTD173への進化で、誰もが最初に気づくのが先端のリング照明、マキタが「Halo LED」と呼んでいる機能です。
従来のインパクトドライバーって、LEDライトが一つだけポツンと付いていて、ドライバービットの影が作業面に落ちてしまうのが当たり前でした。夕方の薄暗い車庫での作業や、シンク下の配管まわりなんかでは「見えにくいなあ」と思いながら手探りで打っていた経験、ありませんか?
TD173では、ビットの周りをぐるりと囲むようにLEDが配置されています。これによってビットの影がほとんど消え、狙った場所にピンポイントで光が当たるんです。実際に使ってみると、この快適さは想像以上。暗所作業が多い方にとっては、この機能だけで買い替える価値があると断言できます。
しかも輝度は3段階で調整可能。明るすぎると感じるときは落とせるし、バッテリー消費を抑えたいときにも便利です。
持った瞬間にわかる。重心バランスの妙
スペック表には決して載らない、でも使う人全員が実感する変化があります。それが重心バランスの改善です。
TD173はバッテリーの取り付け端子の位置を、なんと後方に12mmも移動させるという大胆な設計変更をしています。これによって何が起きたかというと、グリップを握ったときの重心位置が、ちょうど手のひらの中央あたりに来るようになったんです。
工具って、先端に重心があると手首を常に起こしていないといけなくて、長時間作業していると地味に疲れるんですよね。特に天井に向かって上向きにビスを打つ作業なんかは、腕全体で支えなきゃいけない。でもTD173は重心が手元に寄っているから、まるで手の延長のように扱える。この「吸い付くようなバランス感覚」は、店頭で手に取った瞬間に感じ取れると思います。
ちなみに、より軽快に使いたいなら2.0Ahのコンパクトバッテリーを組み合わせるのがおすすめ。重量バランスがさらに良くなって、一日中作業しても疲れにくくなりますよ。
モード切替が背面になった本当の理由
ボタン配置の変更も見逃せません。TD172まではグリップの付け根あたりにモード切替ボタンが付いていたのですが、TD173では思い切って背面、それもバッテリーの真上あたりに移動しました。
「なんでそんな場所に?」と思われるかもしれませんが、これが実に理にかなっているんです。
インパクトドライバーを使うときの持ち方って、親指以外の4本でグリップを握って、人差し指でトリガーを引きますよね。ということは、作業中に親指はけっこう自由が利くんです。背面にボタンがあると、この親指で簡単にモード変更ができる。しかも、目線を落とさなくても現在のモードがパネルで確認できるというメリットもあります。
細かい話ですが、作業中に「今どのモードだっけ?」と確認するために工具をひっくり返す手間がなくなるのは、テンポよく作業したいプロの方ほど評価しているポイントです。
実はすごい「アシストモード」の底力
マキタのインパクトには、大きく分けて4つの打撃モードが搭載されています。
- 最大パワーでガンガン打てる最速モード
- パワーを抑えて繊細に扱える強モードと中モード
- そして、この機種の隠れた主役とも言えるTモード(アシストモード)
Tモードは、ひと言でいうと「ネジをバカにしないモード」です。
薄い鉄板にビスを打つとき、普通のインパクトだとパワーが勝ちすぎてネジ山を潰してしまったり、締めすぎてしまうことがあります。でもTモードにしておくと、打撃開始直後はゆっくり回り、ある程度ネジが入ったところで一気に加速、最後はまた減速して自動停止してくれるんです。
さらにボルト締めにも対応していて、着座後にインパクトがかかり始めると、くるくる回る「空打ち」状態になる直前に自動で止まります。これが地味にありがたくて、うっかり締めすぎてボルトを飛ばしてしまう心配が激減するんです。
初心者の方ほど「こんな機能が欲しかった」と感じるはずですし、ベテランの方でも「面倒な作業を任せられる」という安心感がある。まさに縁の下の力持ち的な機能です。
購入前に知っておきたい。TD173の「ここだけは注意」ポイント
いいところばかりお伝えしてきましたが、もちろん注意しておきたい点もあります。後悔しないためにも、ここはしっかりお伝えしておきますね。
1. ビットの深さ問題
これがTD173で一番よく聞く「あれ?」という声です。チャック部分の奥行きが、従来モデルよりもほんの少し深くなっているんです。そのため、一般的な長さのビットを使うと奥まで入り込みすぎてしまい、先端が短くなって作業しづらいことがあります。
対策としては、純正のスペーサー(品番:A-44672)をチャックの中に入れて底上げするか、もともと長めのビットを使うのがおすすめです。これを知らずに「なんか使いにくいな」と思ってしまう方もいるので、頭の片隅に入れておいてください。
2. 打撃音は静かではない
最近は静音設計をウリにしたインパクトも増えていますが、TD173はそちらには振っていません。データ上は約97〜100dBで、住宅街で早朝や夜間に使うにはそれなりに響きます。音を気にされる方は、この点だけご承知おきを。
3. 並行輸入品の存在
ネットで検索すると、紫や黄色といった国内正規品にはないカラーバリエーションを見かけることがあります。これらは主に海外向けモデルの並行輸入品で、故障したときのメーカー保証が受けられないケースがあります。マキタの工具は頑丈でそうそう壊れませんが、万が一を考えるなら国内正規品を選ぶのが無難です。
結局、マキタTD173は誰におすすめできるのか
ここまで読んでいただいて、「で、結局買いなの?」というところが一番気になりますよね。
ずばり、暗い場所での作業が多い方、そして長時間インパクトを握り続ける方には、自信を持っておすすめできるモデルです。
リング照明の快適さは、使う前は「別になくてもいいかな」と思っていても、一度味わうと戻れなくなる類の進化です。重心バランスの良さも、数値では測れない「使いやすさ」として確実に作業効率を上げてくれます。
逆に、明るい作業場で短時間しか使わない方や、すでにTD172を持っていて特に不満がない方にとっては、無理に買い替えるほどの差ではないかもしれません。ただ、これから初めて18Vのマキタを買うという方には、間違いなくTD173を選んでほしいと思います。
価格は本体のみのマキタ TD173Z でおおよそ1万円台中盤から後半、ケースやバッテリー付きのセットモデルになると3万円前後が相場です。最初の一台を揃えるなら、バッテリーと充電器がセットになったモデルから始めるのが結局はお得ですよ。
最後にひとつだけ。工具は使ってなんぼの世界です。スペックやレビューをいくら読んでも、実際に自分の手に持ったときの「しっくりくる感覚」には敵いません。もしお近くに工具を取り扱うホームセンターがあるなら、ぜひ一度TD173を手に取ってみてください。その瞬間、この記事でお伝えしたかったことがストンと腑に落ちるはずですから。

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