マキタの売上って、ここ数年どうなってるんだろう?
プロ向け電動工具のトップブランドとして知られるマキタですが、2026年にかけての業績には明るい材料と気になる材料が混在しています。為替や住宅市況の影響を受けやすい部分はあるものの、ぶれない技術力と独自のビジネスモデルで長期的な成長を目指しているんです。
今回は、直近の売上データをひも解きながら、投資家や工具好きの方が気になる「マキタの今とこれから」をわかりやすくお伝えします。決算書の数字だけでは見えてこない、現場レベルの戦略やユーザー目線の魅力にも触れていきますね。
直近の売上データでつかむマキタのリアルな今
まずは直近の数字から見ていきましょう。マキタの2026年3月期第3四半期累計(2025年4月~12月)の連結売上収益は、5,687億円。前年同期と比べると、ほぼ横ばいの水準です。
通期の売上収益予想は7,600億円。これは前期比1%増で、当初の予想から300億円ほど上方修正されています。決して爆発的な伸びではないものの、経営陣が「底は脱しつつある」と判断していることが読み取れますね。
では、地域別にどんな動きがあったのか、もう少し細かく見てみましょう。
日本は園芸機器が好調で下支え
国内売上は977億円で、前年同期比3.2%増。住宅着工件数が減っていることを考えると、結構がんばっている印象です。
その原動力になっているのが、充電式の草刈り機やチェーンソーといった園芸機器。プロの造園業者や農家さんを中心に、「エンジン式より静かでメンテが楽」と評価され、じわじわ普及が進んでいます。40Vmaxのハイパワーバッテリーがラインナップされたことで、従来は「充電式じゃパワー不足」と言われていた領域にも食い込めるようになりました。
北米は高金利の逆風で大幅減
一方、北米は577億円で前年同期比12.7%減と、かなり厳しい結果に。アメリカの高金利政策が長引いたことで住宅投資が冷え込み、工具需要そのものが縮小しています。
さらに、ここ数年で北米市場には新興メーカーが続々と参入し、価格競争が激化しているのも逆風です。マキタとしては、安値競争に巻き込まれず、利益率の高いプレミアムモデルの販売に注力する戦略に切り替えています。
欧州は西高東低で底打ちの兆し
欧州は全体としては低調ですが、ドイツやフランスといった西ヨーロッパでは回復の兆しが出てきました。東欧も「さすがにもう底だろう」という見方が広がっていて、2026年に入ってからの受注には少しずつ明るさが戻りつつあるようです。
「売上よりも利益率」にかじを切った北米戦略
マキタが北米で直面している最大の課題は、価格競争です。安さを売りにするブランドと正面からやりあっても消耗するだけ。そこでマキタが取った戦略は、「高付加価値路線への集中」でした。
具体的には、40Vmaxシリーズのようなハイエンド製品の販売比率を高め、値引きに頼らない売り方を徹底しています。広告宣伝費や人件費がかさんで利益を圧迫している現状があるからこそ、「利益率」を重視する方向へシフトしているわけです。
短期的には北米の販売数量が落ち込むリスクもありますが、ブランド価値を守りながら長く稼ぎ続けるためには、必要な判断だったと言えるでしょう。
40Vmaxと園芸機器が切り開く新たな需要
今後の売上を語るうえで外せないのが、40Vmaxシリーズと園芸用機器の存在です。
マキタといえば18Vのイメージが強いですが、40Vmaxはその2倍以上の電圧で、よりパワフルな作業に対応。コンクリートへの穴あけや、太い枝の切断など、これまでエンジン式やAC100Vの出番だった作業をコードレス化できるようになりました。
そして園芸機器は、マキタが「第二の柱」と位置づけて本気で育てているカテゴリ。電動化の流れや人手不足、近隣への騒音配慮といった追い風があり、国内だけでなく欧米でも市場が拡大しています。実際、日本の売上を下支えしたのも、この園芸機器の好調が大きいです。
ユーザーを逃がさない「バッテリプラットフォーム」という武器
マキタの強さは単品の工具だけではありません。本当のすごさは、バッテリプラットフォームという仕組みにあります。
マキタの充電式工具は、一度バッテリーと充電器をそろえてしまえば、同じ電圧帯の製品なら本体だけを買い足せばOK。バッテリーの共用ができるので、ユーザーからすれば「別のメーカーに乗り換えると、また一からバッテリーを買いそろえないといけない」という心理的スイッチングコストが発生します。
その結果、一度マキタに投資したプロユーザーは、継続的にマキタ製品を購入し続ける傾向が強くなるんです。この囲い込みモデルは、安定した売上の土台として、価格競争に巻き込まれにくい構造を生み出しています。
中古市場でもマキタのリセールバリューは高め。ヤフオクやメルカリを見ても、マキタの工具は値崩れしにくいことで知られています。「買い替え時に高く売れる」という安心感も、ユーザーがマキタを選ぶ理由のひとつです。
株主還元と今後の展望
投資家目線でも気になるポイントをまとめておきます。
マキタは2026年1月に、最大400億円の自社株買いを発表しました。年間配当は下限20円を維持しつつ、総還元性向35%以上が基本方針。3年以上継続保有する株主には、クオカードや自社製品がもらえる優待制度もあります。
長期的に見れば、40Vmaxのモーターユニットを使った建設機械分野への進出や、80Vmax製品の開発構想など、新たな事業領域にも意欲的。電動化の波は建設や農業、林業まで広がっており、マキタがカバーできる市場はまだまだ拡大余地があります。
マキタの売上から見える「強いブランドの作り方」
数字だけを追いかけると、北米の落ち込みが気になって「マキタ大丈夫?」と思うかもしれません。でも、その裏では高付加価値路線への切り替えや、園芸機器の育成、バッテリ囲い込みによる安定収益の確保など、着実に次の一手を打っています。
目先の売上の増減に一喜一憂するより、マキタが長年かけて築いてきた「ユーザーに選ばれ続けるしくみ」にこそ、この会社の本質的な価値が詰まっている。決算書の数字と現場の戦略、両方に目を向けることで、マキタというブランドの現在地がよりクリアに見えてくるはずです。

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